国の年金の概要
国民年金と厚生年金の2階建ての終身年金
国の年金制度は、国民年金からはすべての国民に共通の基礎年金が給付され、厚生年金からは、基礎年金に上乗せするかたちで厚生年金が給付されるという、2階建てのしくみになっています。企業に働く人は国民年金と厚生年金に加入し、年金を受け取る条件を満たした場合に、それぞれの制度から老齢年金を受け取ります。そのほか、障がいが残ったときに受け取る障害年金、亡くなったときに遺族が受け取る遺族年金があります。
加入のしくみ
対象者
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入することになっています。国民年金の加入者は、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類に分かれています。20歳以上60歳未満の自営業者や学生等は第1号被保険者、企業で働く厚生年金の加入者や共済年金の加入者は第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は第3号被保険者です。NTTグループで働く社員は厚生年金に加入し、同時に第2号被保険者として国民年金に加入していることになります。
加入者資格の取得・喪失
厚生年金の加入者資格は「厚生年金の適用会社に使用されるようになった日」に取得します。NTTグループの会社は厚生年金の適用会社ですので、会社に入社した日に厚生年金の加入者資格を取得し、退職した日の翌日、死亡した日の翌日、70歳の誕生日の前日等に喪失します。厚生年金の加入期間は月を単位として計算し、加入者資格を取得した月から喪失した月の前月までを数えます。加入期間は、年金受給資格の判定や年金額の計算に用いられます。
保険料納付のしくみ
厚生年金保険料
厚生年金では、毎月の給料及び賞与から保険料を納付し、これを年金額に反映する「総報酬制」がとられています。厚生年金保険料は、毎月の給料(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、会社と加入者が折半で負担します。毎月の給料と賞与から控除された厚生年金保険料は、会社を通じて国に納付します。なお、国民年金保険料(第2号被保険者と第3号被保険者)は厚生年金から国民年金へ一括して拠出されるため、本人が個別に納める必要はありません。
※厚生年金保険料率は毎年9月に0.354%ずつ引き上げられ、平成29年9月以降18.3%で固定されています。
年金給付のしくみ
給付の種類
国の年金には、老齢になったときに受け取る「老齢年金」のほかに病気やけがで障がいが残ったときに受け取る「障害年金」、加入者や年金受給者が死亡したときに遺族が受け取る「遺族年金」の3種類があります。
老齢になったときに受け取る年金
- 老齢厚生年金(厚生年金加入者)
- 老齢基礎年金(国民年金加入者)
病気やけがで障がいが残ったときに受け取る年金
- 障害厚生年金(厚生年金加入者)
- 障害基礎年金(国民年金加入者)
死亡したときに遺族が受け取る年金
- 遺族厚生年金(厚生年金加入者)
- 遺族基礎年金(国民年金加入者)
老齢給付金
老齢年金は、国民年金や厚生年金など国の年金制度に10年以上加入することで受け取ります。この年金を受け取るために必要な加入期間を「受給資格期間」といいます。受給開始時期は特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢からとなります。
障害年金
厚生年金加入者が、病気やけがにより障がいが残ったときは、障害年金を受け取れます。障害年金には、国民年金の障害基礎年金と厚生年金の障害厚生年金があり、障がいの重さによって受け取る年金が決まります。次の条件を満たしている場合に受け取れます。
- 障がいの原因となった病気・けがの初診日に厚生年金に加入していた
- 障害認定日に所定の障害等級に該当している
- 一定の保険料納付条件を満たしている
障害等級
1級障害 | 日常生活を1人で営めない状態 |
---|---|
2級障害 | 日常生活が困難で仕事につけない状態 |
3級障害 | 仕事に大きな制限を受ける状態 |
※障害等級は国民年金法及び厚生年金保険法に定められた基準です。
障害等級と受け取れる障害年金の関係
-
1級障害
厚生年金から障害厚生年金、配偶者加給年金が支給されます。また国民年金から、障害基礎年金が支給され、18歳未満の子がいる場合は子の加算額分が加算されます。なお、1級の障害厚生年金、障害基礎年金は、それぞれ2級の障害厚生年金、障害基礎年金の1.25倍の額となります。
-
2級障害
厚生年金から障害厚生年金、配偶者加給年金が支給されます。また国民年金から、障害基礎年金が支給され、18歳未満の子がいる場合は子の加算額分が加算されます。
-
3級障害
厚生年金から障害厚生年金が支給されます。
-
3級より軽い障害
厚生年金から障害手当金(一時金)が支給されます。
遺族年金
厚生年金加入者または年金受給者が死亡したときは、その人に生計を維持されていた遺族が遺族年金を受け取れます。遺族年金には、国民年金の遺族基礎年金と厚生年金の遺族厚生年金があり、遺族の家族構成によって受け取る年金が決まります。
なお、年金額は、遺族基礎年金は満額の老齢基礎年金額と同額、遺族厚生年金は加入者本人が受け取る老齢厚生年金の4分の3の額になります。
遺族年金は、次のいずれかに該当し、一定の保険料納付条件を満たしている場合に受け取れます。
- 厚生年金に加入している人が死亡したとき
- 厚生年金の加入者でなくなったあと、加入期間中に初診日がある病気やけがで初診日から5年以内に死亡したとき
- 老齢厚生年金を受け取るための加入期間を満たしている人が受給開始前に死亡したとき
- 老齢厚生年金を受け取っている人が死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生年金を受け取っている人が死亡したとき
遺族の範囲とその順位
死亡した人に生計を維持されていた次の1~4の人で、受け取る順位も1~4の順です。順位が先の人が受け取る権利がなくなっても、次の順位の人は受け取ることができません。
- 妻または子または55歳以上の夫
- 55歳以上の父母
- 孫
- 55歳以上の祖父母
※子・孫とは、18歳未満(18歳になった年度末まで)または障がい者の場合は20歳未満の子・孫をいいます。
※55歳以上の夫・父母・祖父母の受給開始は60歳からです。
遺族の家族構成と受け取れる遺族年金の関係
-
18歳未満の子のいる妻が受け取るとき(平成26年4月以降において、18歳未満の子のいる夫も含む)
厚生年金から遺族厚生年金が支給されます。また国民年金から、子の加算額分が加算された遺族基礎年金が支給されます。
-
18歳未満の子が受け取るとき
厚生年金から遺族厚生年金が支給されます。また国民年金から、遺族基礎年金が支給されます。また子が複数いるときは、2人目以降の子について子の加算額が加算されます。
-
夫死亡時に40歳以上、かつ、18歳未満の子がいない妻が受け取るとき
は、中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金が支給されます。なお、中高齢寡婦加算額とは、夫死亡時に妻が40歳以上である場合に、妻が65歳になるまで受け取れる加算です。
-
夫死亡時に40歳未満、かつ、18歳未満の子がいない妻が受け取るとき
夫死亡時に40歳未満の場合は、遺族厚生年金のみ支給されます。
-
その他の遺族が受け取るとき
厚生年金から遺族厚生年金が支給されます。
国の年金に関する詳細は日本年金機構のホームページをご参照ください。
年金の受取手続方法
公的年金の受取手続について説明した動画をご用意しておりますので、公的年金の手続動画をご覧ください。